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痔瘻(痔ろう・あな痔)とは?

肛門の周りに膿が溜まることを肛門周囲膿瘍と呼びます。肛門周囲膿瘍が悪化すると痔ろうになります。
痛みや腫れ、ときに38~39℃の発熱がみられ、膿で下着が汚れることもあります。
皮膚が破れて膿が自然に出たり、病院で皮膚を切開して膿を出したりすることで肛門周囲膿瘍は改善しますが、その後に膿の通り道(瘻管)が残ります。瘻管のみではしこりを触れたり、分泌物が少し出たりする程度ですが、再び肛門周囲膿瘍を形成すると、痛みや腫れ、発熱がみられ、これを繰り返すことが問題となり、手術による治療が必要になります。
男性に多く見られますが、その原因は分っていません。

痔瘻(痔ろう・あな痔)の症状

  • 肛門の周囲に痛みや腫れがある
  • 38~39℃の発熱がある
  • おしりから膿が出る
  • 下着が汚れる

痔瘻(痔ろう・あな痔)の治療方法

飲み薬(抗菌薬)

もともと痛みが小さく、膿の量が少ない場合や自然に膿が出ている場合は飲み薬(抗菌薬)で経過を見ます。
自然に膿が出た場合、黄色で膿と分かることもありますが、血が混ざり、ただの出血と間違えてしまうこともあります。

切開して膿を出す

膿が自然に出ていないものは、皮膚を切開して膿を出す必要があります。
外来で局所麻酔下に行いますが、痛みが苦手な場合や膿の量が多い場合は入院で腰椎麻酔下に行うこともあります。

手術による瘻管の切除

上記の治療で肛門周囲膿瘍が改善した後、痔ろう自体を治療する必要があります。自然治癒はほとんどしないため、原則として手術で瘻管を切除します。

痔ろうは膿の通り道の深さで種類が分かれます。8割くらいは低位筋間痔瘻と呼ばれ浅い位置を通りますが、坐骨直腸窩痔瘻と呼ばれる深く複雑なものもあります。
低位筋間痔瘻の場合は約10日間の入院ですが、坐骨直腸窩痔瘻の場合は3週間以上の入院が必要です。

痔瘻(痔ろう・あな痔)になる原因

細菌感染による化膿

肛門管内の小さな穴(肛門腺)の細菌感染による、肛門周囲が化膿し膿がたまることが主な原因です。

肛門腺の感染以外に、裂肛(切れ痔)やクローン病という腸の病気でも瘻管を生じることがあります。

下痢が続くと発症しやすいと言われていますが、下痢とは無関係に発症することもあり、原因はよく分かっていません。

動画で分かる痔瘻(痔ろう・あな痔)

痔瘻(痔ろう・あな痔)について医師がわかりやすく説明

当院の院長が痔瘻(痔ろう・あな痔)の症状や治療法について、動画でわかりやすく説明しています。
ぜひご覧ください。

あな痔(痔瘻)についてのよくあるご質問

肛門にあるくぼみから細菌が入ってしまうことが原因です。 特に体調の悪い時や疲れて免疫力が低下した時に細菌に感染して膿がたまってしまいます。

自然治癒は難しく手術(根治術)が必要になります。 痔瘻の状態にもよりますが一般的なものであれば2〜3週間で治ります。

痛いです。その他に発熱の症状が出たりします。

あな痔(痔ろう)を放置すると「あな」の形状が枝分かれしたり深いところに膿がたまるなど複雑な形状になることがあります。複雑化すると治療も大変になり治るのにも時間がかかります。放置せずに早めの治療が望ましいです。

あな痔(痔ろう)は基本的には手術をしないと治らないので、そのまま放置すると膿がたまったり、発熱、腫れたりを繰り返します。

個人差があり、手術の内容によっても異なりますが、痛みは弱まりながら数週間続き、傷は1ヶ月〜1ヶ月半で閉じます。単純痔瘻だと完治は2〜3ヶ月、複雑痔瘻だと3〜6ヶ月、場合によっては1年かかることもあります。 多くの方は術後2日目には普段通りお仕事されていますので、日常生活を送ることは可能です。

個人差はありますが、手術後3日ほどは痛みが続きます。 1週間くらいは特に排便時に痛みを感じることがあります。 時間と共に少しずつ痛みが減っていく感覚を持たれる方が多いです。